嘔吐
嘔吐とは
嘔吐とは、一度口にした食べ物や飲み物を吐き出してしまう状態を指します。 嘔吐の前兆である吐き気は、口の中に入れた食べ物や飲み物を吐き出しそうな不快感で、嘔吐とは異なり、実際に嘔吐物を吐き出してはいない状態です。 嘔吐・吐き気は、両方とも脳の嘔吐反射中枢の刺激または臓器の刺激などにより引き起こされることが多いです。
嘔吐の主な症状
嘔吐の際に現れる主な症状として、次のようなものがあります。- 吐き気
- 食欲不振
- 胃の不快感
嘔吐とひとくくりにしても、症状の度合いや原因は人それぞれです。セルフケアで様子を見てよいものもあれば、病院へ受診したほうがよい嘔吐もあります。 下記に受診を検討すべき嘔吐とセルフケアで様子をみてよい嘔吐のチェックリストを作成いたしました。ぜひ参考にしてみてください。
◆受診を検討すべき嘔吐
- 激しい下痢や腹痛、めまいなど別の症状が伴っている
- 嘔吐物に血が混ざっている
- 血圧が異常に高いまたは低い
- 嘔吐がつらくて水分補給も難しい
- 吐き気が数日以上続いている
- 嘔吐の頻度が多い
◆セルフケアで様子を見てよい嘔吐
- 食べ過ぎまたは飲み過ぎたあとである
- 過度のストレスがある
嘔吐の原因
嘔吐の原因はさまざまです。以下のようなものがあります。消化器疾患
消化器が刺激されて出る嘔吐の場合、消化器疾患の可能性があります。消化器疾患には次のようなものがあります。- 急性胃炎
- 胃潰瘍または十二指腸潰瘍
- 胃がん
- 腸閉塞
- 虫垂炎
嘔吐の原因は消化器疾患である場合がほとんどです。
食中毒
食中毒とは、食べ物を介して菌やウイルスが体内に侵入する感染症です。 食中毒が原因で起こる嘔吐には、次のようなものがあります。- ノロウイルス
- フグ毒
- キノコ毒
- 貝毒
原因菌が潜んでいる食べ物を摂取した直後に症状が出る場合もあれば、数日経過してから発症する場合もあります。食中毒の原因菌によって嘔吐が出るタイミングは異なるため、嘔吐した数日前からの食事内容を思い返せるようにしましょう。
メニエール病
メニエール病は、耳の奥の内耳にある液が増えすぎて吐き気や嘔吐、回転しているようなめまい症状の発作がおこる病気です。脳の刺激
ケースとしては少ないですが、脳にある嘔吐反射中枢が刺激され、嘔吐や吐き気の症状が現れる場合もあります。嘔吐中枢の刺激が原因で起こる嘔吐には、次のようなものがあります。- くも膜下出血
- 脳出血
- 脳腫瘍
- 抗がん剤など薬の副作用
くも膜下出血や脳出血の場合、すぐに処置が必要です。今までなかったような激しい頭痛が嘔吐に伴ってある場合は、早急に受診しましょう。
嘔吐の治療
嘔吐に対する治療は、原因により変わります。病気が原因の嘔吐の場合は、医療機関で治療を行います。症状が軽度であったりすぐに受診を判断できない場合は、まずはセルフケアで対応しましょう。医療機関での治療
病院では問診や検査から嘔吐の原因を特定し、病気が見つかった場合は、適切な治療を行います。 原因となる病気が消化器疾患の場合は消化器内科で治療が可能です。メニエール病のような消化器疾患以外の病気が疑われる場合、別の診療科の受診をすすめる場合もあります。 出ている症状が吐き気のみの場合は消化器内科の受診で対応してもらえる場合が多いですが、もし、ほかの症状もあり、どの診療科に受診したらよいか判断できない場合は、総合的に症状を見てもらえる内科を受診してみてください。セルフケアによる対処法
嘔吐してしまったら、慌てずに落ち着いて次のような応急処置が大切です。- 安静にする
- 口をすすぐ
- 可能であれば水を飲む
思い当たる原因がない場合や食中毒が疑われる場合は、吐き気止めなどの薬を自己判断で服用するのは避けましょう。嘔吐は一時的で自然に改善する場合と、医療機関での治療が必要な場合に分けられます。
この記事の監修
メディカルクリニックパレ水天宮前 代表
石井 浩統
略歴
2005年3月 福井大学卒業
2005年4月 福井県済生会病院 臨床研修医
2007年4月 福井県済生会病院 外科医員
2010年1月 福井県済生会病院 外科医長
2011年4月 日本医科大学付属病院高度救命救急センター 助教・医員
2024年4月 メディカルクリニックパレ水天宮前開院