すり傷

すり傷とは

すり傷とは

すり傷とは、皮膚の表面がなんらかの摩擦によって削られ、できた外傷のことをいいます。さまざまな種類がある外傷のなかでも、すり傷は子どもから大人まで最もよく経験するものでしょう。すり傷は、日常生活やスポーツなどのアウトドア活動中に、壁や道路などに手足を擦ることで生じます。特に手や膝、肘や顔など、服から露出している部分に損傷を負うことが多いです。一般的にすり傷の深さは、皮膚表面の比較的浅いことが多いので、深刻な出血はほとんど見られません。

すり傷の主な症状

すり傷の主な症状としては、皮膚の表面が削られることによって、赤くなったり、軽度の出血が見られます。皮膚の表面には神経が分布しているため、ヒリヒリとした痛みを伴うことも多いです。また、こすれた傷口に雑菌がはいると、化膿してしまい、腫れや痛みをともなって傷が残りやすくなるので注意が必要です。すり傷が生じたあと、しばらくたつと傷口から透明な浸出液が見られ、乾燥するとかさぶたが形成されます。軽度のすり傷でしたら、時間とともに自然に治癒します。

すり傷の原因

すり傷は何かにぶつかったり、転んだりした際に、皮膚が硬い表面に擦れることで生じます。特に、アスファルトやコンクリートのような硬い地面で転倒したとき、すり傷を負いやすいです。子どもの場合は、スポーツや外遊びのときに、すり傷を負うことが多いですし、高齢者でも、ちょっとした不注意で家具の角に打ち付けたり、つまづいて転倒することで生じることがあるでしょう。

すり傷の治療

すり傷の治療は、まずは傷口をきれいに保つことが大切です。転倒してアスファルトや砂が傷口に付着している場合は、水道水で丁寧に洗い流して、異物が残らないようにしましょう。また、石鹸をよく泡立てて傷口を洗うのも効果的です。洗浄後は、清潔なガーゼや絆創膏で傷口を覆って、刺激や汚れを防ぐことで、軽度のすり傷は自然に治癒します。 最近では、すり傷は乾燥させずに治療したほうが、早くきれいに治るとされており、被覆材を用いることが増えています。被覆材とは、傷口の湿潤環境を維持して、創傷治癒に最適な環境にさせるものです。さまざまな種類の被覆材が販売されていますので、セルフケアでおこなう際は検討してみるとよいでしょう。 ただし、広範囲で深いすり傷の場合は、早めにクリニックに通院して診察を受けるようにしましょう。すり傷が腫れたり、膿が出たりする場合は感染が疑われるため、抗生物質による治療が必要なこともあります。症状がひどい場合は、早めに医師に相談しましょう。

すり傷の応急処置のポイント

すり傷の応急処置のポイントは下記のとおりです。 泥や砂などの汚れがあれば水道水でよく洗い流す 傷口のなかに、異物が残らないようによく洗う 傷口にガーゼなどの清潔な布で押さえて止血する すり傷は切り傷と異なり、じわっとした出血が続きます。ヒリヒリとした痛みを伴うことが多いので、しっかり止血をして雑菌が入らないよう、絆創膏などで覆うようにしましょう。

すり傷でクリニックに受診する目安

どの程度のすり傷ならクリニックを受診するべきか、なかなか判断は難しいのではないでしょうか。そのような時は、下記を目安に判断してみてください。
  • すり傷が深くえぐれているとき
  • 清潔にしていてもすり傷がなかなか治らないとき
  • すり傷に伴う合併症が疑われとき
  • すり傷に異物が入って取り除けないとき
傷口が深くえぐれてしまって、異物が混入して取り除くことができない。傷口に異物が残っていると、治りが遅く状態が悪化する可能性があります。また、治癒までに時間がかかると、傷跡が目立ってしまったり、化膿してしまうことがありますので、クリニックで正しい処置をしてもらう方がよいでしょう。
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石井 浩統

この記事の監修

メディカルクリニックパレ水天宮前 代表
石井 浩統

略歴

2005年3月 福井大学卒業
2005年4月 福井県済生会病院 臨床研修医
2007年4月 福井県済生会病院 外科医員
2010年1月 福井県済生会病院 外科医長
2011年4月 日本医科大学付属病院高度救命救急センター 助教・医員
2024年4月 メディカルクリニックパレ水天宮前開院