血便

血便とは

血便

血便とは、便に血液が混ざっている状態を指し、胃や腸といった消化管のどこからか出血している状態です。出血部位によって便の色や症状は異なります。赤色の血液が便に混ざる場合は下血といい、大腸などの下部消化管での出血が原因であることが多く、暗い黒っぽい色の便の場合は黒色便といい、胃など上部消化管での出血が考えられます。

血便がみられた場合の症状や原因、対処法について説明します。

血便の主な症状

血便に伴う症状は、出血の原因や部位により異なりますが、以下のような症状があります。

  • 鮮血が便に付着
  • 黒いタール状の便
  • 疲労感、めまい、息切れ
  • 排便時の痛みや不快感

血便が続くと徐々に貧血が進行し、めまいや息切れといった貧血の症状が現れることがあります。また、排便時に痛みがある場合は、痔や肛門周囲の裂傷などが原因となっている可能性があります。

血便の原因

血便の原因はさまざまですが、以下のような原因が考えられます。

痔核や裂肛

排便時に鮮やかな赤い血液が便やトイレットペーパーに付着する場合は、痔核(いぼ痔)や裂肛(切れ痔)が疑われます。痔核は肛門周辺の血管がうっ血して腫れる疾患で、排便時に破れると出血を起こします。裂肛は、硬い便によって肛門が裂けることで生じ、強い痛みを伴います。

胃潰瘍

胃潰瘍とは、胃の粘膜がダメージを受け、粘膜がただれる病気です。胃潰瘍を起こすと黒色便のほかに、みぞおちが痛むことがあります。

大腸ポリープや大腸がん

大腸ポリープや大腸がんも、血便の原因となることがあります。特に40歳以上の人や、大腸がんの家族歴がある場合は、定期的な検査が推奨されています。大腸がんは早期には自覚症状はほとんどありません。血便を自覚した時点でがんが進行している場合があり、血便を認めたら早めに医療機関を受診することが重要です。

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)

炎症性腸疾患は、腸に慢性的な炎症が起こる病気を総称した名称で、潰瘍性大腸炎やクローン病があります。腸の粘膜に炎症や潰瘍ができます。血便のほか、腹痛や下痢、体重減少、発熱などの症状を伴います。

感染性腸炎

細菌やウイルスなどによる感染性腸炎も、血便の原因となることがあります。たとえば、サルモネラ菌や腸管出血性大腸菌による食中毒では、血便だけでなく激しい腹痛や下痢、発熱などの症状が起こります。汚染された食べ物の摂取が原因です。

虚血性大腸炎

虚血性大腸炎は、大腸への血流が一時的に悪くなり、大腸の一部が炎症や壊死を起こす病気です。中高年に多く見られ、急激な腹痛とともに、下血が起こります。虚血性大腸炎は、多くの場合は自然に回復しますが、重症化すると手術が必要になることがあります。

血便の治療方法

血便の治療は、原因によって以下のようなさまざまな治療を行います。

痔核や裂肛

痔核や裂肛が原因の場合、食物繊維や水分を多く摂取し、硬い便を防ぐことで肛門への負担を軽減できます。症状が軽い場合は軟膏や座浴などで創部を保護します。しかし重症の場合は手術が必要になることもあります。

胃潰瘍

胃潰瘍は胃酸分泌抑制薬で胃酸の分泌を減らし、胃の粘膜を保護します。ピロリ菌が原因の場合は、除菌する必要があります。

大腸ポリープや大腸がん

大腸ポリープが出血の原因であれば、内視鏡手術でポリープを除去します。大腸がんが疑われる場合、早期に病院を受診し治療が必要です。

炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎やクローン病の治療には、腸の炎症を抑えるための薬物療法が主に行われます。炎症を抑えることで下血などの症状をコントロールすることが目標です。
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この記事の監修

メディカルクリニックパレ水天宮前 代表
石井 浩統

略歴

2005年3月 福井大学卒業
2005年4月 福井県済生会病院 臨床研修医
2007年4月 福井県済生会病院 外科医員
2010年1月 福井県済生会病院 外科医長
2011年4月 日本医科大学付属病院高度救命救急センター 助教・医員
2024年4月 メディカルクリニックパレ水天宮前開院