やけど
やけどとは
やけどとは、熱いものや薬品、電気などに触れて皮膚が傷つくことです。また、やけどには低温熱傷と呼ばれるものもあり、44〜60℃の比較的低い温度でも、長時間にわたって接触し続けることで、低温やけどが生じることがあります。
やけどの主な症状
やけどの症状は、損傷の深さによって、Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分類されます。損傷の深さは、皮膚組織のどの部分まで損傷されているかで決まります。そのため、もともと皮膚の薄い子どもや高齢者では、やけどの損傷レベルは高くなりやすいので注意が必要です。 軽度のやけどでは、皮膚が赤くなったり、ヒリヒリとした痛みが生じます。中等度から重症のやけどになると、腫れて水ぶくれになったり、皮膚の組織が壊死する場合があります。さらに、重症度が増すと感染症のリスクも高まるため、早急な対応が必要となります。 次に具体的にⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度はどの程度のやけどなのかを解説していきます。Ⅰ度熱傷
皮膚の表皮だけのやけどを指します。見た目としては皮膚が赤くなったり、ヒリヒリとした痛みをともないますが、数日の間で、傷あとも残らずきれいに治ります。Ⅱ度熱傷
皮膚の表皮から真皮にまで達した、やけどのことを指します。見た目としては水ぶくれがともなっている状態です。Ⅱ度熱傷には、Ⅰ度熱傷の浅いものから、Ⅲ度熱傷の深いものに分けられます。 Ⅱ度熱傷でも比較的浅いものは、強い痛みを生じますが、傷あとを残さず治癒する場合が多いです。しかしその一方で、深いものは痛みが弱いものの、傷あとが残ってしまうことが多いとされています。Ⅲ度熱傷
皮膚の表皮と真皮を越えて、脂肪や筋肉の皮下組織にまで達した、やけどのことを指します。見た目としては皮膚が白色、または黒く見えたりしている状態です。神経や血管が損傷しているため痛みの感覚がありません。やけどの原因
やけどの原因は多岐にわたります。熱湯や熱い油が飛んでくることで生じるものが一般的には多いです。そのほかにも、化学薬品に触れてしまったり、漏電によって感電して、やけどを発症することもあります。子どものやけど
特に注意が必要なのは子どものやけどです。1〜3歳頃の子どものやけどの原因は、家庭のテーブルやキッチン台に置いている、お茶やコーヒー、みそ汁やインスタントラーメンなどの熱い液体をかぶって、やけどを負ってしまうことが多いです。 この年代の子どもは好奇心が増して、家庭にあるさまざまなものに触れようとします。家庭のテーブルやキッチン台の高さにあるものは、子どもの身長では見えないため、手を出してかぶってしまい、顔面から前胸部にかけてやけどをするケースが多いので注意が必要です。 家庭内に危険な場所がないか、日ごろから注意することで子どものやけどを未然に防ぐことにつながります。やけどの治療
軽度のやけどであれば、氷や水などで冷やす他、軟膏や創傷被覆材を用いておこないます。しかし、創傷部が細菌感染を引き起こしていると、損傷が深くなり治癒にも時間がかかってしまうことがあります。また、やけどのあとや肥厚性瘢痕、ひきつれなどの後遺症が残りやすくなるので、専門のクリニックでの治療が推奨されます。やけどをした際の応急処置
やけどをした際の応急処置は、直ぐに冷やすことが大切です。熱が皮膚組織の深部にまで達して、損傷を深めるのを防いでくれるほか、やけどの痛みを和らげることも期待できます。 冷却する際には、無理に衣服を脱がさずに、水道水などの流水を衣服の上から流しましょう。時間としては、20分ぐらいを目安に冷やすとよいです。保冷剤を用いた冷却は、凍傷を引き起こすことがありますので、タオルやガーゼに包むなどして直接肌に触れないように使用しましょう。この記事の監修
メディカルクリニックパレ水天宮前 代表
石井 浩統
略歴
2005年3月 福井大学卒業
2005年4月 福井県済生会病院 臨床研修医
2007年4月 福井県済生会病院 外科医員
2010年1月 福井県済生会病院 外科医長
2011年4月 日本医科大学付属病院高度救命救急センター 助教・医員
2024年4月 メディカルクリニックパレ水天宮前開院