切り傷

切り傷とは

切り傷とは

切り傷とは、刃物やガラス片などの鋭利なもので、皮膚や組織が切断されたキズの総称です。一般的には、包丁やカッターナイフ、紙の縁などで切り傷が生じますが、皮膚が損傷して出血をすることが多く、傷口の深さや場所によって重症度が異なります。また切り傷は、日常生活の中でもよく見られる外傷の一つですので、重症度に合わせた適切な対処が必要です。

切り傷の主な症状

切り傷の症状としては、出血やヒリヒリ感、じんじんとした痛みなどの症状が現れます。軽度の切り傷の場合、傷口が乾燥するとかさぶたができ、その後は回復に向かいます。しかし、傷口から細菌が侵入して感染が起こると、化膿して痛みや腫れがひどくなるケースもあるでしょう。切り傷の症状は、キズの深さや広さによって症状の程度も異なります。

皮膚のごく浅い表皮の切り傷

皮膚のごく浅い表皮の切り傷では、軽い出血とヒリヒリとして痛みを伴うことがあります。不潔な場所で怪我をした場合は、放置すると感染のリスクがあるので水で洗い流すなどの対処をしましょう。

皮膚の真皮にまでおよぶ切り傷

皮膚の真皮にまでおよぶ切り傷では、傷口も開きやすくなり、出血や痛み、細菌の感染リスクが高まります。また、傷口が化膿して、痛みや腫れがひどくなる場合がありますので、傷口の洗浄を施しましょう。

皮膚の全層にまでおよぶ切り傷

皮膚の全層が完全に切れてしまうと、傷口が大きく開き、皮下脂肪が露出し出血も多くなります。また、皮膚の下にある神経が損傷すると知覚麻痺を引き起こします。ほかにも、血管が損傷すると、指先の循環障害などの症状も現れることもあります。皮膚の全層に達する深い切り傷は、止血を施し、すぐにクリニックに受診するようにしましょう。

切り傷の原因

切り傷の原因は、日常生活のさまざまな場面で生じます。例えば、料理中に包丁で指を切ってしまったり、割れたガラスを拾いあげる際に手を傷つけることもあるでしょう。子どもの工作のときには、紙のふちやカッターナイフで傷つけることもあります。また、工場現場での作業中に鋭利な工具や機械で深い切り傷が生じることもあります。切り傷の原因は、日常生活の予期せぬところにあるので注意しましょう。

切り傷の治療

切り傷の治療は、傷口の深さや広さ、感染症の有無によって異なります。傷口の程度と重症度に合わせた治療が必要です。ここではその治療方法について解説します。

浅い切り傷の治療

浅い切り傷の場合、傷口を生理食塩水か水道水で洗浄し、抗生剤入りのワセリン基剤の軟膏をうすく塗布するとよいでしょう。清潔なガーゼや包帯で圧迫して止血することも必要です。動物の引っ掻き傷のような、あきらかに汚染された傷口では、感染しないように抗生剤の内服をする場合もあります。

深い切り傷の治療

深い切り傷の場合、出血や感染のリスクが高まります。そのため、まずはしっかりと洗浄して、軟膏を塗布します。また、傷口が大きく開いていることが多いので、クリニックにて縫合したり、テープでの固定、医療用接着剤など、患者さんの状況に合わせて適切な方法で治療を行います。

切り傷の応急処置の正しい方法

切り傷によって出血してしまった場合の、セルフケアは以下のとおりです。
  • 傷口を洗浄して異物を取り除く
  • 清潔な布で傷口をピンポイントに圧迫
  • 傷口を心臓より高い位置に保つ
  • 10分程度は傷口を抑え続け止血する
まずは、傷口をしっかり洗浄することで感染リスクを抑えます。清潔な布をあてて、傷口を手のひらで圧迫します。傷口を心臓より高い位置に保つことで、重力によって静脈圧が下がるため、出血が止まりやすくなります。10分程度、傷口を圧迫し続けても出血が止まらない場合は、早めにクリニックを受診しましょう。
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外科 
石井 浩統

この記事の監修

メディカルクリニックパレ水天宮前 代表
石井 浩統

略歴

2005年3月 福井大学卒業
2005年4月 福井県済生会病院 臨床研修医
2007年4月 福井県済生会病院 外科医員
2010年1月 福井県済生会病院 外科医長
2011年4月 日本医科大学付属病院高度救命救急センター 助教・医員
2024年4月 メディカルクリニックパレ水天宮前開院