膀胱炎
膀胱炎とは
膀胱炎は、何らかの原因によって、尿を溜めるための臓器である膀胱に炎症が起きている状態を指します。膀胱炎にはいくつか種類があり、急性単純性膀胱炎、複雑性膀胱炎、出血性膀胱炎、間質性膀胱炎、放射性膀胱炎などありますが、一般的に膀胱炎と言えば、急性単純性膀胱炎のことを指します。
膀胱炎は、日本人女性の2人に1人が発症する可能性のある病気といわれています。特に性的活動の活発な世代の女性と、高齢女性に多い傾向があります。
女性に膀胱炎が多い理由は、男性よりも尿道が短く、尿の出口と肛門や膣の距離が近いことが挙げられます。また、膀胱炎をたびたび繰り返す場合や治りにくい場合は、ほかの病気が隠れている可能性があるため、詳しく調べる必要があります。
適切な治療をせずに放っておくと、発熱や嘔吐、背中や腰に強い痛みの症状が現れる腎盂腎炎を引き起こしてしまう可能性があるため、早期の原因究明と治療開始が重要です。
膀胱炎の主な症状
膀胱炎は基本的な症状を把握しておくと、排尿時に違和感があった時点で疑いを持つことができ、早期治療につなげられます。膀胱炎にかかると、突然、以下のような症状が現れます。- 何度もトイレに行きたくなる(頻尿)
- 排尿してもすっきりした感じがしない(残尿感)
- 排尿した後に、下腹部や陰部が痛い(排尿痛)
- 尿が白濁する、尿に血液が混ざる(血尿)
膀胱炎の原因
膀胱炎は、膀胱のなかに細菌が侵入し、膀胱の粘膜に炎症が起こることで発症します。膀胱炎の原因菌でもっとも多いのは大腸菌といわれており、最近では抗菌薬に対抗する耐性菌による膀胱炎も増えています。ほかにも以下のような原因が挙げられます。免疫力の低下
疲労が溜まって睡眠不足が続いていたり、精神的ストレスを感じていたりすると、免疫力が低下してしまいます。免疫力が低下すると膀胱内に侵入した細菌に抵抗できず、増殖を抑えることができません。月経前後や性行為前後
生理中や性行為後は、膀胱に侵入した細菌が増殖しやすい環境になるため、膀胱炎を発症しやすくなります。食べ物による膀胱炎
膀胱炎の原因や症状の悪化には、普段から口にしている食べ物も深く関わっています。基本的にコーヒーや酸味の強いものは、間質性膀胱炎の症状を悪化させる可能性があるため注意しましょう。また、複雑性膀胱炎の原因となる糖尿病や尿路結石の発症には、食事が深く関わっているとされています。膀胱炎の治療
膀胱炎は基本的に、発症している症状と尿検査で診断を行います。尿検査で白血球や細菌の有無を確認するほか、尿中の細菌を培養して、原因となっている細菌の特定と効果的な抗菌薬を調べます。治療では抗菌薬の内服を行いますが、最近では抗菌薬に対抗する力を持つ耐性菌が増えているので、治療効果の期待できる抗菌薬を的確に選ぶ必要があります。
医療機関で処方された抗菌薬を内服すると、数回で症状が改善することが多いため、自己判断で内服を途中でやめてしまう人もいます。しかし途中でやめると症状が再発してしまい、耐性菌をつくることになってしまうため、指示された期間は必ず服用するようにしましょう。
薬以外の治療法としては、十分な量の水分をとることが大切です。水分を取ることによって、尿とともに膀胱内で増殖した菌を外へ排出することができます。
膀胱炎は、誰もが発症する可能性のある病気です。恥ずかしいからといって後回しにせず、まずは診察を受けることをおすすめします。
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この記事の監修
メディカルクリニックパレ水天宮前 代表
石井 浩統
略歴
2005年3月 福井大学卒業
2005年4月 福井県済生会病院 臨床研修医
2007年4月 福井県済生会病院 外科医員
2010年1月 福井県済生会病院 外科医長
2011年4月 日本医科大学付属病院高度救命救急センター 助教・医員
2024年4月 メディカルクリニックパレ水天宮前開院