腸炎

腸炎とは

腸炎

腸炎とは、小腸や大腸の粘膜に炎症が生じ、腹痛や下痢、発熱などの症状を起こす疾患です。

腸炎は感染性と非感染性に大きく分けられ、感染性は主にウイルスや細菌などの感染が原因で、一般的にお腹の風邪とも呼ばれます。これに対し、非感染性は、暴飲暴食やストレス、お腹の冷えなどが原因で起こることが多いです。

腸炎の主な症状

腸炎で現れる主な症状には、次のようなものがあります。
  • 腹痛
  • 下痢
  • 吐き気、嘔吐
  • 発熱
  • 倦怠感
  • 脱水症状
腸炎にかかると、腸の粘膜に炎症が生じ、水分の吸収が正常に行われないため、下痢が起こります。この場合、1日に数回から数十回にわたる下痢が続くこともあります。また、胃腸への炎症で吐き気や嘔吐が起こることもあります。嘔気のため水分が十分に摂れないかつ、下痢も併発するため、脱水を起こすことがあります。

特に、ご高齢の方や子どもは脱水のリスクが高く注意が必要となります。また、炎症により腸の運動が活発になり、痛みを起こすほか、病原体に対する体の免疫反応として発熱がみられることもあります。

腸炎の症状は、急性の場合は数日で回復することが多いですが、脱水を起こしたり、発熱で強い倦怠感を起こしたりすることもあるため、症状が強い場合は病院を受診しましょう。

腸炎の原因

腸炎の原因は、感染性と非感染性のものに分かれます。

感染性腸炎

感染性腸炎は、ウイルス、細菌、寄生虫などの病原体が腸内に侵入し発症する腸炎です。

・ウイルス性腸炎
ノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスなどが原因となります。特に冬季に多く、感染力が非常に強いため、家庭内や集団生活の場で集団発生することがあります。また、激しい嘔吐や下痢を伴うこともあります。

・細菌性腸炎
サルモネラ菌、カンピロバクター、病原性大腸菌(O157など)などの細菌が原因で発生します。汚染された食品や水を摂取することで感染し、激しい腹痛や下痢、発熱が起こります。まれに、血便が見られることがあります。

非感染性腸炎

非感染性腸炎は、感染以外の要因で発症する腸炎です。

・腸への刺激
暴飲暴食、冷たいものの摂りすぎは腸に強い刺激を与え、腸炎を発症します。

・ストレス性腸炎
ストレスなどで自律神経が乱れると、下痢を起こすことがあります。

・虚血性腸炎
腸の血流が一時的に低下することで、突然の腹痛とともに下血を起こします。便秘が誘引となることがあります。

・アレルギー性腸炎
食物や薬剤に対するアレルギー反応で下痢を起こします。

腸炎はその原因により治療法が異なるため、正確な診断が重要です。特に感染性腸炎の場合は他人に移すリスクがあるため、感染予防対策を行うことが必要です。

腸炎の治療

腸炎の治療は、以下のようなものを組み合わせて行います。

水分補給と電解質の補充

腸炎では、下痢や嘔吐により体内の水分や電解質が失われやすいため、脱水を防ぐことが重要です。経口補水液やスポーツドリンクなどを用いて、こまめな水分補給を心がけましょう。症状が重く自分で水分補給ができない場合は、点滴による水分補充を行うこともあります。

食事療法

腸炎の際は、胃腸に負担をかけないような食事を心掛けましょう。暴飲暴食を控え、おかゆ、うどん、バナナなど消化の良い食品を少量ずつ摂取してください。辛いもの、脂肪が多いもの、コーヒー、アルコールなどの胃腸に負担がかかるものは回復するまで避けましょう。

薬物療法

症状が強い場合は、薬物療法を症状にあわせて行います。吐き気が強い場合は制吐剤を使用することがあります。 また、下痢の症状が重い場合は下痢止めを使用することもあります。ただし、下痢止めは、症状がどうしても辛い場合や脱水の程度がひどい場合の使用となります。症状がつらい場合、まずは病院を受診して相談しましょう。
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この記事の監修

メディカルクリニックパレ水天宮前 代表
石井 浩統

略歴

2005年3月 福井大学卒業
2005年4月 福井県済生会病院 臨床研修医
2007年4月 福井県済生会病院 外科医員
2010年1月 福井県済生会病院 外科医長
2011年4月 日本医科大学付属病院高度救命救急センター 助教・医員
2024年4月 メディカルクリニックパレ水天宮前開院