発熱
発熱とは
発熱とは、体温が通常の範囲を超えて上昇している状態のことをいいます。 通常、日本人の体温の平均は36〜37℃の範囲で収まっていますが、この範囲を超えて上昇している状態が、発熱と呼ばれます。また、日本の感染症法では、37.5℃以上を発熱、38℃以上を高熱として定義されています。患者さんが自身の平均体温を把握しながら、37.5℃を目安にするとよいでしょう。
発熱の主な症状
発熱時に現れる主な症状には、次のようなものがあります。
- 身体が熱く感じる
- 寒気がする
- 頭痛がある
- 脈拍や呼吸が速くなる
- 関節痛や筋肉痛がある
- 身体に倦怠感がある
また、発熱が続いてしまうと、食欲不振や脱水といった症状を伴うことがあります。 これらの症状は、ウイルスや細菌が体内に入ってきた際に、身体に備わる免疫反応よって起こります。幼児や高齢者の場合は、発熱によって症状が急変する可能性がありますので、注意して経過観察することが必要です。
発熱の原因
発熱の原因はさまざまですが、次のようなものがあります。
感染症
細菌やウイルス、カビなどの病原体に感染して発熱することがあります。病原体に感染すると、これらの病原体を排除しようとして、身体の免疫機能がはたらき発熱します。風邪やインフルエンザなどの呼吸器系の感染症が原因となることが多いですが、中耳炎や副鼻腔炎など、身体のさまざまの部位でも感染して発熱が引き起こされます。
薬の副作用
薬の副作用によって発熱することもあります。薬に対してのアレルギー反応などによって発熱を引き起こすものです。アレルギー反応には、皮疹や吐き気、呼吸困難などのさまざまな症状を伴う場合があります。
癌や免疫疾患
癌や免疫系の疾患によって発熱することがあります。癌によって引き起こされた発熱は腫瘍熱ともいわれており、血液やリンパの癌、腎臓癌や肝臓癌などで、腫瘍熱が多く見られます。そのほか、リウマチなどの自己免疫疾患でも炎症を起こして発熱症状が現れます。
発熱の治療
発熱があるときの治療法は、原因となる病気の治療、もしくは対処療法となります。
原因となる病気の治療
発熱が長いこと続いたりする場合は、原因となっている病気を見つけて治療する必要があります。リウマチなどの自己免疫疾患の治療、細菌による感染症の場合は抗生剤の治療などが必要になります。
対症療法
発熱の原因がわからない場合は、解熱鎮痛薬による対症療法を行うことが一般的です。発熱したからといって、すぐにクリニックに受診しても、原因がわからないことがあります。その場合は、アセトアミノフェンや非ステロイド性消炎鎮痛薬を用いて、発熱の症状を和らげることが一般的です。 そのため、発熱の原因を特定するために、発熱以外にどのような症状があるかを把握することが大切です。例えば、発熱以外にも鼻づまりや嗅覚異常などがある場合、単なる風邪ではなく、副鼻腔炎などの病気が疑われます。発熱以外の症状も把握することで、原因の特定につながりやすくなります。
セルフケアと注意点
軽度の発熱であれば、適度な水分補給と十分な休息で自然に回復する場合があります。基本的には安静にすることがもっとも大切です。身体を休ませることが回復につながり、水分と栄養補給で治ることが一般的です。また、発熱している部位を冷やすことも苦痛の緩和につながるでしょう。 ただし、38℃を超える高熱が長いこと続いたりする場合、水分が取れなかったり、意識に異常が見られる際は、風邪以外の病気が原因で発熱を引き起こしている可能性があります。安静や水分補給のセルフケアで済ますのではなく、早めの受診を検討するとよいでしょう。
この記事の監修
メディカルクリニックパレ水天宮前 代表
石井 浩統