胃炎
胃炎とは
胃炎とは、胃の粘膜に炎症を引き起こす病気の総称です。原因はストレス、暴飲暴食、薬の副作用、免疫の異常など、多岐にわたるといわれています。
胃炎の種類
胃炎には、急性胃炎と慢性胃炎の二つのタイプがあります。急性胃炎
急性胃炎は病名の通り、胃の粘膜に急激な炎症が生じて、痛みや吐き気、むかつき、嘔吐などの症状が現れることです。軽症の場合は数日で回復しますが、炎症が強い場合は長引くことも少なくありません。慢性胃炎
慢性胃炎は主にピロリ菌感染によって慢性的な炎症が生じ、粘膜の萎縮や胃部不快感、吐き気などの症状を引き起こすことがあります。急性胃炎、慢性胃炎ともに、胃炎は胃潰瘍など重篤な合併症を引き起こすことがあるため、早期に適切な治療を行うことが大切です。
胃炎の主な症状
胃炎の症状は、急性胃炎と慢性胃炎で大きく異なります。急性胃炎
急性胃炎では、みぞおちの痛み、むかつき、吐き気、嘔吐などの症状が突然現れます。重症度は炎症の程度や原因によって異なりますが、軽症の場合は数日で改善します。重症の場合は症状が長引くことが多く、粘膜へのダメージが強い場合は胃潰瘍などを併発し、出血、黒色便、動悸、めまいなどの症状を伴うことがあります。
慢性胃炎
慢性胃炎の場合、急激に強い症状が引き起こされることはありませんが、慢性的なみぞおちの痛み、消化不良による吐き気やむかつき、胃部不快感などの症状がみられます。場合によっては、ビタミンの吸収がうまくできず、重度の貧血になることも報告されています。胃炎の原因
胃炎の原因は、急性胃炎と慢性胃炎で異なります。急性胃炎
急性胃炎の原因は、ストレスや暴飲暴食、痛み止めなどの薬の副作用、感染症などが挙げられます。そもそも胃の粘膜からは、酸性度が高い胃酸という消化酵素が分泌されています。そのため胃の粘膜は、胃酸の刺激に耐えられる組織でできていますが、ストレスや暴飲暴食が続くと胃の粘膜を守る機能が低下してしまいます。また、胃酸が過剰に分泌されるため、胃の粘膜が荒れて炎症が生じます。また、NSAIDsという痛み止めの薬は胃の粘膜を守るために必要な物質の産生を抑える作用があるため、胃の粘膜にダメージを与えることが知られています。
慢性胃炎
慢性胃炎の原因の多くは、ピロリ菌感染です。ピロリ菌は胃の粘膜に慢性的な炎症を引き起こし、胃の粘膜を委縮させます。そのほかの原因としては、免疫の異常によって抗胃壁細胞抗体や抗内因子抗体など、胃の粘膜を攻撃するタンパク質が作られると慢性的な炎症を引き起こすことがあります。また、肝硬変や腎不全などの病気によって胃の粘膜への血流が低下したり、粘膜を正常に保つための栄養素が不足したりすることで、慢性胃炎を引き起こすことも少なくありません。
胃炎の治療
胃炎の治療は、急性胃炎の場合でも慢性胃炎の場合でも薬物療法が主体となります。急性胃炎の場合は、発症原因を改善するとともに、症状を緩和させるための胃酸分泌抑制薬や胃防御因子増強薬などが用いられます。また症状が強く食事がとれない場合は、点滴治療を行います。
一方、慢性胃炎も同様に薬物療法が行われますが、ピロリ菌感染以外が原因の場合、根本的な治療がないケースもあります。ピロリ菌感染の場合は、抗菌薬などを一定期間内服する除菌治療を行います。
胃炎の原因はさまざまで、なかでも慢性胃炎は予防することが困難です。治療せず放置しておくと将来的に胃がんのリスクを高めるケースもあるため、早期診察を受診し、改善に努めましょう。
この記事の監修
メディカルクリニックパレ水天宮前 代表
石井 浩統
略歴
2005年3月 福井大学卒業
2005年4月 福井県済生会病院 臨床研修医
2007年4月 福井県済生会病院 外科医員
2010年1月 福井県済生会病院 外科医長
2011年4月 日本医科大学付属病院高度救命救急センター 助教・医員
2024年4月 メディカルクリニックパレ水天宮前開院