痛風・高尿酸血症

痛風・高尿酸血症とは

痛風・高尿酸血症とは

痛風とは、尿酸という物質が体内で異常に蓄積し、急性の関節痛を引き起こす病気です。風が吹いただけでも痛いと表現されるように、足の親指の付け根に突然激痛が走り、発症した場合、1週間から10日前後でおさまるといわれています。

日本における痛風の患者数は約60万人、予備軍は約50万人といわれ、30歳から50歳代の特に男性に多いことが特徴です。女性の場合は、女性ホルモンが尿酸を体外へ排出しやすくしてくれるため、女性ホルモンが減少する更年期以降に発症するケースが多いとされています。

血液中の尿酸が7mg/dLを超えると高尿酸血症と診断され、個人差はあるものの、放置しておくと5年から10年ほどで痛風になるといわれています。

痛風・高尿酸血症の主な症状

痛風の場合、足の親指の付け根に激痛が走って歩けないほど痛むといわれていますが、命を落とすものではなく、発作24時間後が痛みのピークとされています。まれに足首やひざなど別の関節に激痛が起こる可能性もあり、赤い腫れを伴うケースも報告されています。痛風を発症した初期の頃は一時的な痛みで治まりますが、痛風が再発するごとに長時間痛むようになるといわれています。

また、痛風になる前の症状である高尿酸血症では、ほとんど自覚がないため治療せずに過ごす人が少なくありません。しかし高尿酸血症を放置しておくと、以下のような合併症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
  • 腎臓機能の低下(尿酸が腎臓に蓄積して腎不全を起こす)
  • 動脈硬化による脳出血
  • 脳梗塞などの脳血管障害
  • 心筋梗塞
  • 狭心症などの虚血性心疾患
  • 尿路結石

痛風・高尿酸血症の原因

通常、食べ物や体内組織に含まれるプリン体という成分は、分解されて尿酸となり、尿から排出されます。しかし飲み過ぎや食べ過ぎなどにより血液中の尿酸濃度が高い状態が続くと、尿酸は血液中に溶けきれなくなり、結晶化して関節に沈着し、炎症を繰り返すことになります。痛風や、痛風を引き起こす高尿酸血症の発症には、次の原因が考えられています。
  • 尿酸が排泄されにくい、尿酸を作りすぎてしまうなどの遺伝的要因
  • プリン体の過剰摂取
  • アルコールの過剰摂取
  • 肥満

痛風・高尿酸血症の治療

痛風・高尿酸血症の治療には、食事療法・運動療法・薬物療法の3つがあります。

食事療法

食事療法では、肉類や魚介類の摂取量に注意し、プリン体の総摂取量が1日あたり400mgを超えないよう心がけることが重要です。特にプリン体は白子類や干物に多く含まれており、肉や魚にも一定量含まれます。また、過度な糖質制限によって魚や肉を過剰に摂取すると尿酸値が上がりやすくなるため、バランスに気を配りましょう。アルコールは種類を問わず控えめにし、特にビールは尿酸値に影響を与えやすいため、ジュースと同様に摂取量を減らすことが推奨されます。

運動療法

運動療法では、サイクリング、ジョギング、ウォーキングなど、会話しながら行える有酸素運動を1日合計30分以上、または60分程度行うことが最適といわれています。ただし、適度な運動は肥満の予防や生活習慣の改善に繋がりますが、高尿酸血症の場合は、無酸素運動などの過度な運動を短時間で行うと、逆に尿酸値を上げてしまうことがあるので注意しましょう。

薬物療法

薬物療法は、痛風の発作回数や症状の有無に関わらず、尿酸値が9mg/dL以上の人に行われます。また、尿酸値が8mg/dL程度でも、メタボリックシンドロームや糖尿病、狭心症、尿路結石、腎障害、高血圧などを併発している人は痛風を発症しやすいため、薬物療法が考慮されます。
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内科 
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この記事の監修

メディカルクリニックパレ水天宮前 代表
石井 浩統

略歴

2005年3月 福井大学卒業
2005年4月 福井県済生会病院 臨床研修医
2007年4月 福井県済生会病院 外科医員
2010年1月 福井県済生会病院 外科医長
2011年4月 日本医科大学付属病院高度救命救急センター 助教・医員
2024年4月 メディカルクリニックパレ水天宮前開院