肝炎
肝炎とは
肝炎とは、肝臓に炎症が生じることで肝臓の細胞が破壊され、肝機能が低下する病気のことです。
肝炎は、急激に炎症が生じて肝臓の機能が低下する急性肝炎と、弱い炎症が長期間続くことで肝臓の機能が徐々に低下していく慢性肝炎のふたつに分けられます。
原因はウイルス感染や薬の副作用、アルコールや高カロリーな食事の摂りすぎなど好ましくない生活習慣や、免疫機能の異常など、多岐に渡ります。
肝炎が疑われるときは、肝臓の機能やウイルス感染の有無などを調べるための血液検査や、肝臓の腫れや萎縮、腫瘍などの病変の有無を調べるための画像検査などで診断を行います。
肝炎の主な症状
肝臓は、沈黙の臓器と呼ばれており、炎症や何らかの異常が生じても自覚症状がないケースが少なくありません。ここでは、どのような症状が現れるか、急性肝炎、慢性肝炎それぞれについて解説します。急性肝炎の場合
急性肝炎にかかると、急激に炎症が生じて肝臓の機能が低下するため、以下のような症状が現れます。- 全身倦怠感
- 食欲不振
- 吐き気
- 発熱
- 黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなる)
- 皮膚のかゆみ
慢性肝炎の場合
慢性肝炎の場合、軽度な炎症が長時間続いているものの、急性肝炎のような症状は現れにくいといわれています。そのため気づかず放置しておくと、肝硬変や肝臓がんに進行することがあるため注意が必要です。肝炎の原因
肝炎の原因は、以下のようなことが挙げられます。ウイルス感染
肝炎はウイルスに感染して引き起こされることがあり、日本の肝炎の多くはウイルス性肝炎といわれています。 肝炎ウイルスにはA~Eの型があり、主にA型とE型は生肉や魚介類、汚染された水などを介して感染し、急性肝炎を引き起こします。 一方、B型とC型は血液や体液を介して感染し、慢性肝炎になりやすいのが特徴です。B型およびC型肝炎の患者・感染者は合わせて300万人を超えていて、国内最大の感染症とも言われています。生活習慣の乱れ
日常的にアルコールを大量に服用していると、肝臓に脂肪が蓄積され、炎症が引き起こされることがあります。一方で、多量に飲酒をしない場合であっても、食生活の乱れや運動不足などの生活習慣の乱れによって肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝の状態になると、肝臓に炎症を起こすケースも少なくありません。薬の副作用
薬や、薬が代謝される過程で生じた物質が肝臓にダメージを与えることや、薬に対するアレルギー反応により、肝臓に炎症を引き起こすことがあります。免疫作用の異常
自分の肝臓の細胞を異物とみなして免疫の作用で攻撃してしまうことで、肝炎を発症することがあります。明確な発症メカニズムは不明ですが、何らかのウイルス感染、妊娠・出産が契機になりやすいと考えられています。肝炎の治療
肝炎の治療は、急性肝炎と慢性肝炎で大きく異なります。急性肝炎の治療法
急性肝炎の多くは重症化しない限り、安静にして肝臓への血流を増加させること、タンパク質制限などの肝臓に負担がかからない食事制限、補液などの治療をすることで自然に改善することがほとんどです。しかし、炎症が強い場合は、ステロイド薬の投与、B型肝炎やC型肝炎の場合は抗ウイルス剤の投与が行われることがあります。慢性肝炎の治療法
慢性肝炎の治療は、食事療法や運動療法などのほか、肝臓の細胞を守る肝庇護薬や、抗ウイルス薬などによる薬物療法が行われます。肝炎になっていたとしても、肝臓の状態は人によってさまざまです。しかし、肝臓の状態は自覚症状の有無では判断できないため、健康診断等で肝炎と診断された方は、一度医師の診察を受けることがおすすめです。
この記事の監修
メディカルクリニックパレ水天宮前 代表
石井 浩統
略歴
2005年3月 福井大学卒業
2005年4月 福井県済生会病院 臨床研修医
2007年4月 福井県済生会病院 外科医員
2010年1月 福井県済生会病院 外科医長
2011年4月 日本医科大学付属病院高度救命救急センター 助教・医員
2024年4月 メディカルクリニックパレ水天宮前開院