不眠症
不眠症とは
不眠症になると、夜間に良質な睡眠を十分にとることができず、日中に倦怠感や意欲低下、集中力低下、食欲低下など、日中にさまざまな支障が生じます。不眠は誰でも経験するものですが、自然と改善してふたたび眠れるようになります。
しかし、慢性的な不眠症に陥ると、適切な治療を受けない限り回復しにくいといわれています。不眠症は、慢性不眠症と短期不眠症の2つに分けられます。不眠と日中の不調が週に3日以上あり、それが3ヵ月以上続く場合は慢性不眠症、3ヵ月未満の場合は短期不眠症と診断されます。
不眠症の問題を抱えている人の割合は多く、成人の30%以上が一過性の不眠症状を経験しており、10%ほどが不眠症に罹患しているといわれています。
不眠症の主な症状
不眠症は夜間にぐっすり眠れないことで、仕事や学業に支障をきたすなどパフォーマンスの低下、集中力や記憶力の低下、やる気が出ない、気分がすぐれずイライラするなどの情緒不安定さなどが生じることが特徴です。不眠症状のタイプとしては、以下の3つが挙げられます。
入眠困難
寝るまでに30分から1時間かかり、なかなか寝付けないことです。不眠症の中で最も多い症状です。睡眠維持困難
一旦眠りについても何度も目が覚めてしまい、目覚めた後に眠れない場合のことです。眠りは加齢とともに浅くなり、目が覚めやすくなり、お年寄りに多くみられます。早期覚醒
朝早く目が覚めてしまい、そのまま眠れない場合です。年齢を重ねると体内時計のリズムがずれやすくなります。不眠症の原因
不眠症の原因はさまざまあり、不適切な生活習慣、心理的なストレス、アルコール、薬物、心身の不調などが挙げられます。具体的な原因は、以下の通りです。不適切な生活習慣
本来、ヒトの体内時計は1日平均24.18時間です。1日24時間の枠組みの中で決まった時間に寝起きし、基礎置く正しい生活を送るためには、日中の活動時間に光を浴びて体内時計をリセットすることが必要不可欠です。しかしながら現代は、就寝前のスマートフォンの利用や24時間稼働の工場勤務など、不適切なタイミングで光を浴びることでヒトの体内時計に狂いが生じています。心理的なストレス
家族や親しい友人の死去、仕事の過度なストレスなども不眠症の原因になります。就寝前のアルコールの摂取
寝付きを良くするため、就寝前にアルコールを飲む人もいますが、アルコールは夜間の睡眠の質を悪化させて不眠症を引き起こす要因になります。不眠症の治療
不眠症の治療が必要かどうかは、睡眠時間だけでは判断できません。不眠症状が存在していることを前提に、昼間のパフォーマンスに悪影響を及ぼしているかどうかを判断することがとても重要です。治療においては、以下の項目が検討されます。睡眠衛生指導
不眠症の原因は多岐にわたるため、まずは良質な睡眠を保てるよう睡眠衛生指導を行います。例えば、毎日なるべく決まった時刻に寝起きする、日中に光を浴びる、寝る前のカフェインやブルーライトを避けるなどが挙げられます。薬物療法
良質な睡眠改善と共に、必要に応じて薬物療法が行われます。薬物は漫然と継続するのではなく、定期的に症状を評価し、可能であれば薬の量を減らしたり、お休みしたりします。認知行動療法
認知行動療法は、薬物療法と併用したり単独で行ったりします。適切なスケジュールで睡眠をとるトレーニングと、リラクゼーション法を組み合わせる方法が一般的です。現代の日本において、不眠症は誰もが陥る可能性のある病気です。不眠症の症状でお困りの方は、まずは医師に相談し適切な診察を受けることとよいでしょう。
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この記事の監修
メディカルクリニックパレ水天宮前 代表
石井 浩統
略歴
2005年3月 福井大学卒業
2005年4月 福井県済生会病院 臨床研修医
2007年4月 福井県済生会病院 外科医員
2010年1月 福井県済生会病院 外科医長
2011年4月 日本医科大学付属病院高度救命救急センター 助教・医員
2024年4月 メディカルクリニックパレ水天宮前開院