お尻の痒み
お尻の痒みとは
お尻の痒みとは、肛門やその周辺の皮膚の不快な痒み指します。医学的には「肛門掻痒症(こうもんそうようしょう)」と呼ばれ、皮膚が炎症を起こしている場合や、特定の病気による症状として現れることがあります。痒みが持続すると、無意識のうちに掻きむしってしまい、皮膚が傷ついて炎症が悪化することもあります。
お尻の痒みの主な症状
お尻の痒みは、痒みだけでなく以下のような症状が出現することがあります。- お尻の赤み
- お尻の皮膚の乾燥
- 集中力の低下
痒みがひどくなると、掻くことによって皮膚に傷ができ、その傷が炎症を起こしたり細菌が侵入して感染を起こすことがあります。また、痒みのために不眠や集中力の低下など、日常生活に支障をきたすこともあります。肛門周囲の皮膚が赤く腫れ、症状が強く出現することもあります。
お尻の痒みの原因
お尻の痒みの原因には、以下のようなものがあります。肛門周囲の便での汚染
肛門周囲の皮膚が長時間便にさらされていると痒みを起こします。下痢で何度も便が肛門を通ると、その刺激で痒みが起こります。また、排便後にトイレットペーパーで十分に拭き取れていない場合や、肛門周辺が湿ったままでいると、細菌やカビが増殖し、痒みが生じることがあります。しかし、汚れを気にしてトイレットペーパーで肛門周囲を強く擦ったり、長時間洗ったりすると必要な皮脂を落としてしまい乾燥しやすくなり、それもまた痒みの原因となるので注意が必要です。痔(痔核・裂肛)
いぼ痔(痔核)や切れ痔(裂肛)は、肛門周囲の皮膚に刺激を与え、痒みを引き起こすことがあります。また、痔核からの分泌物が肛門周辺に付着し、痒みが起こることもあります。食事や生活習慣
辛い食べ物やアルコール、カフェインなど、肛門を刺激する食品を過剰に摂取すると、排便時に肛門が刺激され、痒みが発生することがあります。また、不規則な生活習慣や便秘、下痢なども、肛門周囲の皮膚に負担をかけ、痒みの原因となります。接触性皮膚炎
石鹸や保湿剤が肌に合わない場合や、生理用品やおむつの刺激で痒みを起こすことがあります。これを接触性皮膚炎といい、湿疹やかぶれを起こすこともあります。お尻の痒みの治療
お尻の痒みの治療は、症状が軽い場合は生活習慣の改善やスキンケアで緩和できることが多いですが、痒みが続く場合や悪化する場合は、病院を受診しましょう。ここでは、治療方法について解説します。排便習慣の改善
肛門周囲の皮膚を清潔かつ乾燥させないように心がけることが重要です。排便後は、柔らかいトイレットペーパーで便をしっかりと拭き取ります。また、洗うときは刺激の少ない洗剤や石鹸を使用し、肛門周辺の皮膚に負担をかけないように注意しましょう。スキンケア
乾燥が原因で痒みが起こっている場合は、保湿剤を使用して肛門周辺の皮膚を保湿します。その際、保湿剤は刺激の少ないものを選びましょう。また、掻きむしることで皮膚が傷つくと症状が悪化するため、掻きむしらないよう注意しましょう。生活習慣の見直し
辛い食べ物やカフェインなどを多く摂っている場合は、控えるようにしましょう。石鹸や保湿剤が合わない場合は、刺激の少ないものに変えるなどの工夫をし、生理用品やおむつはまめに交換して常に清潔な状態に保ちましょう。また、通気性の良い下着や、柔らかい素材の衣服を選ぶことも、痒みの予防に役立ちます。薬物療法
痒みが強い場合は医療機関を受診し医師に相談しましょう。症状に応じて、痒みの悪循環を断ち切るステロイド外用剤を使用する場合もあります。また、痒みの原因となっている症状を調べる必要があります。下痢が原因の場合は、便通を整える必要があります。この記事の監修
メディカルクリニックパレ水天宮前 代表
石井 浩統
略歴
2005年3月 福井大学卒業
2005年4月 福井県済生会病院 臨床研修医
2007年4月 福井県済生会病院 外科医員
2010年1月 福井県済生会病院 外科医長
2011年4月 日本医科大学付属病院高度救命救急センター 助教・医員
2024年4月 メディカルクリニックパレ水天宮前開院