脂肪肝

脂肪肝とは

脂肪肝

脂肪肝とは、脂質のひとつである中性脂肪が肝臓内に多く蓄積した状態のことを指します。

肝臓がいわゆるフォアグラ状態になることで、日本人の3人に1人が脂肪肝だといわれています。従来は軽い病気と考えられていましたが、最近では肝硬変や肝臓がんへと進行する可能性があり、さまざまな生活習慣病のリスクを高めることがわかってきました。

脂肪肝には2種類あり、飲酒量が多い人に起こるアルコール性肝疾患と、アルコールを摂取していないのに生じる非アルコール性脂肪性肝疾患に分けられます。

非アルコール性脂肪肝疾患は、お酒を飲まない人や若い女性にも急増している病気で、慢性的な炎症によって肝硬変に進行する非アルコール性脂肪肝炎と、肝硬変には進行しない非アルコール性脂肪肝に分類されます。非アルコール性脂肪肝疾患にかかった人のうち、10~20%が非アルコール性脂肪肝炎、80~90%が非アルコール性脂肪肝です。

脂肪肝の主な症状

脂肪肝には、痛みなどの自覚症状がありません。しかし、脂肪肝になると血がドロドロになり血流が悪くなるため、全身の細胞に酸素と栄養分が補給されなくなります。そのため、疲れやすい、肩がこる、頭がボーッとするといった症状が出ることがあります。

また脂肪肝の患者は、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしやすいことでも知られており、血管系の病気に対しても注意が必要です。

脂肪肝の原因

脂肪肝とは、中性脂肪が肝臓に蓄積する病気です。本来、食事で摂った脂質は、小腸で吸収されてから肝臓で脂肪酸に分解され、糖質はブドウ糖に分解され、小腸から吸収されたあと肝臓で中性脂肪に変化します。しかし脂質や糖質を摂りすぎ、さらに運動不足の場合には、使いきれなかった脂肪酸やブドウ糖が中性脂肪として肝臓に蓄えられてしまいます。

そのため脂肪肝は、生活習慣に関連して発症することが多いと指摘されています。アルコール性肝疾患は、お酒の飲み過ぎによって生じます。その一方で、非アルコール性脂肪性肝疾患は、一般的に肥満やメタボリックシンドロームなどを原因として生じるといわれています。また、極端な食事制限など無理なダイエットをした人も、低栄養性脂肪肝と呼ばれる脂肪肝にかかることがあるので注意が必要です。ほかにも、薬剤、遺伝性代謝疾患、妊娠など、特殊な原因によって脂肪肝が生じることもあります。

脂肪肝の治療

脂肪肝は、肝硬変などに進行していない段階であれば、生活習慣を改めることで肝臓の状態を改善することが十分に期待できます。まずは、アルコールの飲みすぎを控え、体重管理などを心がけましょう。日々の生活習慣を改善することが第一ですが、一度生活スタイルを改善しても、すぐに元に戻ってしまうと再び脂肪肝に陥ってしまうこともあります。

リバウンドを避けるためにも、運動などを楽しみつつ、無理のない範囲で継続することが大切です。

脂肪肝の食生活改善というと、脂っこいものの摂取を減らすことを考えますが、それ以上に気を付けたいのは糖質です。ごはん、パン、麺類のほか、果糖の吸収がよい果物の摂りすぎにも注意しましょう。

また、脂肪肝は食事の摂り方でも予防できます。食事によって血糖値が急上昇すると、インスリンが大量に分泌され、中性脂肪が蓄えられやすくなります。まず野菜のおかずを食べ、そのあと肉や魚のおかず、ごはんなどの炭水化物を摂ることで、血糖値の上昇を穏やかにすることができます。

脂肪肝は無症状のまま経過し、健康診断などで初めて指摘されることがあります。放置しておくと肝炎から肝硬変、肝がんなど重篤な病気に進行することがあるので、指摘された場合はしっかりと医療機関にかかりましょう。
初診に適した診療科目
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この記事の監修

メディカルクリニックパレ水天宮前 代表
石井 浩統

略歴

2005年3月 福井大学卒業
2005年4月 福井県済生会病院 臨床研修医
2007年4月 福井県済生会病院 外科医員
2010年1月 福井県済生会病院 外科医長
2011年4月 日本医科大学付属病院高度救命救急センター 助教・医員
2024年4月 メディカルクリニックパレ水天宮前開院