食欲不振
食欲不振とは
食欲不振とは、通常感じる食欲が減退し、食事をする意欲が低下する状態を指します。食欲は人間の基本的な生理的欲求の一つであり、食事を摂取して体のあらゆる機能を維持するために必要なものです。食欲不振により体内で必要なエネルギーが不足し、飢餓状態になります。長期間にわたって続く場合は、栄養不足により健康に悪影響を及ぼします。
食欲不振の主な症状
食欲不振に伴う主な症状は、以下のようなものがあります。- 食欲の低下または消失
- 食事を見たり、匂いを嗅いでも食べたいと感じない
- 少量の食事で満腹感を感じる
- 体重減少
- 全身の倦怠感や疲労感
- 下痢、便秘
食欲不振は栄養不足を引き起こします。長期間続く場合は体力が落ち、重篤な状態になる場合があります。また、食欲が減退している間は胃腸が不調を起こし、腹痛や胃もたれ、下痢、便秘などを伴うこともあります。
食欲不振の原因
食欲不振の原因は多岐にわたりますが、以下のような原因があります。胃潰瘍、十二指腸潰瘍
胃潰瘍や十二指腸潰瘍など、消化器系の粘膜が傷つくことで食欲不振が起こります。みぞおちの不快感や痛みを伴うことも多く、悪化すると吐血する場合もあります。胃腸炎
胃腸炎などの感染症も、食欲不振の原因となることがよくあります。胃腸炎は一時的なもので、時間とともに症状は軽快します。ストレス
精神的なストレスや不安は、食欲に大きな影響を与えます。自律神経の機能低下により消化機能が低下し、食欲不振につながります。ストレスが続くと、食欲不振も長期にわたって続くことがあります。薬の副作用
薬の副作用で食欲不振を起こすことがあります。薬を服用している間に食欲不振が続く場合は、薬を減量、変更する必要がある場合があるため、医師に相談しましょう。疾患
食欲不振を起こすのは消化器疾患だけではありません。甲状腺機能亢進症、心不全、慢性腎臓病、肝炎、膵炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など多くの病気で食欲不振が起こることがあります。胃がん
胃がんの場合、胃が広がりにくくなったり胃の不快感が出ることで食欲不振が起こります。胃がんから出血すると黒色便が出現したり、貧血となることがあります。食欲不振の治療
食欲不振の治療は、一般的には生活習慣の改善や食事内容の工夫が中心となります。なんらかの病気がある場合は治療が必要なこともあります。食事内容の工夫
食欲不振のときは、胃や腸に負担をかけない食事を選ぶと良いでしょう。たとえば、消化の良いスープやおかゆ、栄養価の高いスムージーなどは、胃に負担をかけずに栄養を摂取できます。また、少量ずつ食事を数回に分けて摂ることも胃に負担をかけない方法です。胃酸分泌抑制薬の使用
胃潰瘍、十二指腸潰瘍が原因の場合は、胃の粘膜を保護するために胃酸分泌抑制薬を使用することがあります。原因疾患の治療
胃腸炎や甲状腺疾患など、なんらかの病気があって食欲不振が起きている場合は、その病気の治療をすることで食欲が戻ることがあります。食欲不振が続く場合は、医療機関を受診して医師に相談しましょう。薬の調整
薬の副作用が原因で食欲不振が続いている場合、症状が重い場合は薬の種類や量の調整を行うことがあります。メンタルケア
ストレスやうつ病が食欲不振の原因となっている場合は、ストレス解消できるような方法をみつけると良いでしょう。場合によっては心療内科などで専門的な診察を受けることも一つの方法ではあります。この記事の監修
メディカルクリニックパレ水天宮前 代表
石井 浩統
略歴
2005年3月 福井大学卒業
2005年4月 福井県済生会病院 臨床研修医
2007年4月 福井県済生会病院 外科医員
2010年1月 福井県済生会病院 外科医長
2011年4月 日本医科大学付属病院高度救命救急センター 助教・医員
2024年4月 メディカルクリニックパレ水天宮前開院