メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームとは

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪が過剰に蓄積されることで代謝異常を引き起こしやすくなり、血圧上昇、空腹時の高血糖、脂質の異常値などがみられる状態のことです。厳密には病気ではありませんが、脳梗塞や心筋梗塞などの原因となる動脈硬化のリスクを高めることが分かっています。

日本では、ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm、女性90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れるとメタボリックシンドロームと診断されます。40歳から75歳を対象に年に一度行われる特定健康診査は、メタボリックシンドロームを含め、動脈硬化の有無を評価するために行われています。

現在、日本におけるメタボリックシンドロームの患者数は、予備軍も含めて男性は40歳から74歳で2人に1人、女性は5人に1人存在し、増加傾向にあるといわれています。中高年がかかる病気と思われがちですが、年齢・性別を問わず注意が必要とされています。

メタボリックシンドロームの主な症状

メタボリックシンドロームは自覚症状が少なく、血圧や血糖値、血清脂質(コレステロールなど)といった検査値は大抵の場合それほど悪くないため、つい放置してしまいがちです。また、メタボリックシンドロームは病気ではないため、特定の症状を挙げることは困難です。

しかしながら内臓脂肪が増え、高血圧や高血糖、脂質の異常などがさらに進行してしまうと、動脈硬化が促進されたり、その他の生活習慣病を引き起こしたりすることによって、何らかの症状が現れることがあります。動脈硬化そのものに自覚症状がありませんが、脳出血、脳梗塞、心筋梗塞、大動脈解離、大動脈りゅう破裂など突然死の原因にもなる重篤な病気を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。

メタボリックシンドロームでは動脈硬化の他に、内臓肥満や生活習慣病が悪化し、以下のような症状が現れることも少なくありません。
  • 過体重による膝の痛みや腰痛
  • 高血圧による頭痛
  • 糖尿病による視力低下や腎機能悪化、末梢神経障害

メタボリックシンドロームの原因

メタボリックシンドロームは、以下のような好ましくない生活習慣が積み重なることによって生じます。
  • 運動不足
  • 偏った食生活
  • 睡眠不足
  • ストレス
  • 喫煙
特に偏った食事は発症に大きく関わっており、適正カロリーを大幅にオーバーした食事、脂質、糖質、塩分の多い食事の摂りすぎには注意が必要です。 また近年では、遺伝的要因や出生時の環境、親の生活環境なども大きな影響を与えているのではないかと考えられています。

メタボリックシンドロームの治療

メタボリックシンドロームの治療では、まず内臓脂肪を減らすことが検討されます。そのため食事療法や運動療法などによって栄養過多の状態を改善し、内臓脂肪の減少を目指します。また、メタボリックシンドロームと関連する生活習慣病に罹患している場合には、その病気に対する治療が別途行われます。高血圧や高脂血症、糖尿病などと診断されている人はしっかり治療していくことも大切です。普段の生活では主に、次のことを心がけましょう。
  • 栄養バランスがよく、適正カロリーを守った食事選び
  • 適度なウォーキングなどの有酸素運動
  • 規則正しい生活リズム
  • ストレスが溜まりにくい生活
  • 禁煙の成功
運動療法ではウォーキングのほかに、ジョギングや水泳、体操なども改善につながるといいます。運動療法の目的はエネルギー消費を行うことで、1週間あたりの運動量が多いほど脂肪量も減少しやすいという報告があります。個人の体力や運動機能、生活環境にあわせて、どれくらいの強度の運動をどれくらいの時間行うか、検討することも必要です。
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この記事の監修

メディカルクリニックパレ水天宮前 代表
石井 浩統

略歴

2005年3月 福井大学卒業
2005年4月 福井県済生会病院 臨床研修医
2007年4月 福井県済生会病院 外科医員
2010年1月 福井県済生会病院 外科医長
2011年4月 日本医科大学付属病院高度救命救急センター 助教・医員
2024年4月 メディカルクリニックパレ水天宮前開院